【2023年】読んでよかった本【詩・人文書・新書】

読書

年の瀬なので2023年に読んだ本の中から特に心に残った本を紹介します。

基本的には人文書が一番好きでよく読むのですが、他にも小説や詩集、絵本、新書、専門書などできるだけ幅広いジャンルでバランスよく読むように心がけています。

(日本人)

「日本人」が考える「日本人」のイメージはすべて間違っている。それはすべて西欧社会が作ったものだからだ。「日本人的なもの」とは、よくいわれる〝世間〟(ムラ社会)ではなく、〝世俗〟(神を信じずに功利的に生きる)の方にある。実は西欧人以上に日本人は、合理的な考え方を好む民族なのだ。従来の論をすべて覆した全く新しい日本人論!

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橘玲著。前の記事でも紹介しましたが、特によかったのでこちらがランクインしました。

こういう自分が知識として知っている事柄が別の視点によって覆される本はとても面白いのでついつい手に取ってしまいます。

暇と退屈の倫理学

暇とは何か。人間はいつから退屈しているのだろうか。
答えに辿り着けない人生の問いと対峙するとき、哲学は大きな助けとなる。著者の導きでスピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先人たちの叡智を読み解けば、知の樹海で思索する喜びを発見するだろう。

2022年東大・京大で一番読まれた本。だそうで。

お笑い芸人の若林正恭が帯を書いていて、「まさか哲学書で涙するとは思いませんでした」と寄せていたので興味を惹かれて購入。余談ですが、若林さんってかなり読書家なのを知らなくて驚きました。著者の國分功一郎氏と対談で「ビッグモーター化する世界の中で」と言う対談をやっていて(文學界10月号)、知見の広さに驚かされた。

哲学って難しそうだけど、本書は一般人にもわかるようにできるだけ平易な言葉で優しく説明してくれている。暇や退屈っていつ生まれたのか?そして、それらは我々に何をもたらすのか。知の探究心が満たされていきます。そしてより、学びたくなる。本当におすすめです。

成瀬は天下をとりに行く

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。
各界から絶賛の声続々、いまだかつてない青春小説!


2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
発売前から超話題沸騰! 圧巻のデビュー作。

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女子高生二人のドタバタ青春物語。滋賀県が舞台ということで、滋賀に行ったことのない僕にはわからない地元のネタがたくさん散りばめられていて、滋賀出身の人は色々なあるあるが発見できてより面白いかもしれません。

気軽に読み進められて面白かったです。主人公成瀬の圧倒的主人公感と、同時に高校生として等身大の世界観が程よく、心地よかった。ノリとしては伊坂幸太郎の「チルドレン」みたいな感じ。

Amazonを見ていたら続編が出るのですね!

あまり売れた小説の続編って面白かった試しがないのもので…もし今後読んで面白かったと言うかたがいたら教えてください。笑

塩一トンの読書

「一トンの塩」をともに舐めるうちにかけがえのない友人となった書物たち。当代無比の書評家でもあった須賀の、極上の読書日記。

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これはもうタイトルが詩的で素晴らしすぎてジャケ買いならぬタイトル買いしてしまいました。著者はイタリア文学者なのですが、著者がミラノで結婚してすぐに、姑に「ひとりの人を理解するまでには、すくなくとも、一トンの塩を一緒に舐めなければだめなのよ」と言われたのがタイトルのきっかけだそうで、そういう一つ一つの言い回しや世界観が素敵で楽しめました。

汝、星のごとく

☆2023年本屋大賞受賞作☆【第168回直木賞候補作】【第44回吉川英治文学新人賞候補作】【2022王様のブランチBOOK大賞】【キノベス!2023 第1位】【第10回高校生直木賞候補作】【ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2022 第3位】【今月の絶対はずさない! プラチナ本 選出(「ダ・ヴィンチ」12月号)】【第2回 本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞 ノミネート】【未来屋小説大賞 第2位】【ミヤボン2022 大賞受賞】【Apple Books 2022年 今年のベストブック(フィクション部門)】などなど、賞&ノミネート&ランクイン多数!その愛は、あまりにも切ない。正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。

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本屋大賞受賞作品は、やはり書店店員が選ぶだけあって絶対に面白いだろうと思って毎年読んでいます。これは本当に面白かった。読み進めることで残りのページがどんどん減っていって、お話が終わりに近づくのが辛く切ない、まだ終わらないで欲しいと思ったのは本当に久しぶりの感覚でした。

男女の恋愛物語にとどまらず、お互いのトラウマや親との関係、性的マイノリティを扱いながら物語が思いもよらぬ方向に振り回されていく感じが本当にドキドキして面白かったです。

かなりしっかりと終わったのになぜ続編が…と思っているので今のところ続編を読む予定はありませんが、もし読んでみたかたがいらっしゃったら感想を教えてください。

グレープフルーツ・ジュース

この本を燃やしなさい。読みおえたら。──あまりにも衝撃的なオノ・ヨーコの「グレープフルーツ」。東京で、のち英語版として世界で発売されたこの1冊に刺激されて、ジョン・レノンは名曲「イマジン」を生み出しました。その中から言葉をえらんで訳しなおした、33人の写真家との素敵なコラボレーション!!

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これは雑誌「&Premium」で、モデルだかクリエイターだかが私の一冊で紹介していた詩集。写真とともにオノヨーコの詩を楽しむことができます。短い詩が多いのでサラサラと読むことができます。その分何度でも読み返したい一冊になったかも。

「この本を燃やしなさい。読み終えたら。」が鮮烈でかっこいいですが、まだ本書は燃やしていません。

木に学べ

法隆寺金堂の大修理、法輪寺三重塔、薬師寺金堂・西塔などの復元を果たした最後の宮大工棟梁・西岡常一氏が語り下ろした、1988年発刊のベストセラー、待望の文庫化。宮大工の祖父に師事し、木の心を知り、木と共に生き、宮大工としての技術と心構え、堂塔にまつわるエピソード、そして再建に懸ける凄まじいまでの執念を飄々とした口調で語り尽くす。一つ一つの言葉には、現代人が忘れかけた日本文化の深奥がひしひしと伝わってくる。

宮大工の語り下ろしという珍しい本。父に勧められて購入しました。

全く自分とは違う職業世界の話でも、職人の話はこんなにも「聴かせる」ものなのだなと感心しました。語り口調の本は最初の方は読みづらかったのですが、だんだん音として聞こえるようになって馴染んでいきました。

永遠の詩 (全8巻)2 茨木のり子

弱ったこころを勇気づけ、希望に導いてくれた詩人、茨木のり子。そこにはいつも生きるための言葉があった。ヒューマニズム溢れる名詩から、亡夫を想う挽歌まで、鑑賞解説付きで収録。

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「自分の感受性ぐらい 自分で守れ ばかものよ」

という詩の一節はもともと知っていたのですが、その詩の冒頭が「ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな みずから水やりを怠っておいて」で始まると言うことを知って、読んでみることにしました。詩って、傷ついた人の心をそっと慰めて癒すイメージが勝手にあったのですが、茨木のり子はそれを易々と打ち砕いていく。戦争を生き抜いた芯のある先人に叱咤されているようで、背筋が伸びる詩の数々はそれでも優しさが滲んでいて、スッと心の中に入ってきました。

まとめ

朝日新聞を購読しています。毎週土曜日の「読書」の欄で新しい本が色々と紹介されているので、そこから興味を持って本を手にとることが増えたように思います。放っておくと自分に都合の良い本を芋づる式に読んでしまい(極端な例で言うとホリエモンとDAIGOとひろゆきの本をぐるぐる読んでいるような)思想や価値観が偏ってしまう恐れがあったので、

できるだけビジネス書を読んだら詩を読んで、詩を読んだら人文書を読んで…と言う形で栄養バランスよく(?)読書をするように心がけました。

新聞でもニュースでも新書でも、やはり日本と世界の近代史を理解していないとついていけないことが増えてきたので、2024年は歴史を強化しつつ、まぁそう入っても、読みたい本を読みたいと思います。当たり前か。

おしまい!

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