早いもので1月も終わりですねー!
とにかく外に出ても寒いので、家や図書館での読書が非常にはかどった1ヶ月でした。去年の暮れに「好きなジャンルに偏らずに色々読むぞ!」と意気込んだのですが、そんなストイックなことはちっともできず、2024年も懲りずに詩・哲学・人文を読み漁っています。まぁ、読みたいということは自分が吸収すべきこと…枯渇している栄養だと捉えるようにします…。
今月は6冊読みました。
芥川賞受賞の「東京都同情塔」が読めて本当によかったです。
本屋大賞の時もそうだったのですが、受賞作って「ちぇっ」と思って冷めるのを待ってしまうので、結局一番賑やかな時に読むことができないというか。そういう「乗れないジブン」ってちょっともったいないと思っているので、旬のものは旬の時に読んだっていい!を実践することができたというか(笑)
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
第3回斎藤茂太賞受賞! 選考委員の椎名誠氏に「新しい旅文学の誕生」と絶賛された名作紀行文。
飛行機の空席は残り1席――芸人として多忙を極める著者は、5日間の夏休み、何かに背中を押されるように一人キューバへと旅立った。クラシックカーの排ガス、革命、ヘミングウェイ、青いカリブ海……「日本と逆のシステム」の風景と、そこに生きる人々との交流に心ほぐされた頃、隠された旅の目的が明らかに――落涙必至のベストセラー紀行文。
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売れてるお笑い芸人の著作って大嫌いなんですよね。自分の苦労話とか、感動を誘う話とか、面白おかしく書いて、これが本当の自分です!って頑張っちゃってる感じがして。
ただ若林は違う。若林はすごい。
大人になってから「おれってニュース見てもなーんにもわかんないんだな」と思って、そこから家庭教師を雇ってマンツーマンで勉強を始めるんです。完全に独学で、別に資格を取るでもなく、目標があるわけでもなく。「資本主義って何?」みたいなところから、とにかくわからないことを家庭教師に訊いて、家庭教師がひたすら答えるという。
それで、若林は今自分を取り巻いているものが資本主義だということに気づいて、それじゃあ別の世界があるのだと。資本主義じゃない世界を見てみたい!と言って、5日間の夏休みを取ってキューバに出かけるんですー。
うたうおばけ
上白石萌音さんが何度も読み返す、愛する一冊
れいんさんの文章には体温があり、とても人間らしくて趣深い。
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言葉の楽しさが詰まっています。
素直に、真っ直ぐに人を愛する姿にあこがれると同時に、
身近にいる大切な人をより愛しく思えます。
くどうれいんを知ったのは代官山の蔦屋書店で平積みにされていた「わたしを空腹にしないほうがいい」をジャケ買いした時のことです。
タイトルを一目見て「これは詩人だ!」と思ったら本当に短歌歌人だったという。
「うたうおばけ」は人を題材にしたエッセイ集で、くどうれいんを取り巻くたくさんの人たちー家族・友人・恋人・上司ーが登場します。そして読み進めてゆくうちに気づくのです。これ、一番おもしろい人ってくどうれいん本人なんじゃないかー?
たくさん食べたり、怒ったり、泣いたり、毎日を頬張るようにして生きる著者がみずみずしく描かれていて、あっという間に読み終わってしまいました。普通にエッセイなのに、「この表現たまらんな〜」と思っていたら付箋だらけになっていました。
また心が荒みでもしたら、優しい気持ちを取り戻すために読み返したいです。
何もしない
効率性や日々のSNS通知に追われ続ける
現代人にできる最大の抵抗は「何もしない」ことだ。
自らの思考と創造性を取り戻す術とは
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現代アーティスト・ジェニー=オデルの怪作です。
「何もしない」というタイトルの癖にめちゃくちゃ分厚いです。
これはほとんど哲学書に近いかもしれないです。本当に面白かった。
100冊に1回くらい出会う、「価値観を変えてしまう1冊」かもしれないと思いました。
今、世界は貨幣経済から注意経済へ移行したと言います。つまり、人の注意をゼロサムゲームで奪い合っている。YouTubeで次の動画をひたすらリコメンドし、TikTokやShortがひっきりなしに更新され、人々は余暇をSNSに丸ごと奪い取られてしまってる。
時間とは人生そのもので、動画を次から次へと見ていれば人生はあっという間に過ぎ去ってしまう。
ではどうすればいいのか?ヘンリー・D・ソローのように森で生活するわけにはいかない。
その対策として「何もしない」ことをジェニーは推奨します。
何もしないとはもちろん眠り続けることではなくてー。この続きはぜひ本を読んで見てください。
欲望の見つけ方
最新スマホが欲しい、あの人とつきあいたい、仕事で成功したい……
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「欲しい!」の裏側には法則がある。あなたの本当に欲しいものとは?
これはタイトルが良くないらしく、人には模倣する習性があり、それが模倣と深い関わりがあるーというのが触りなのですが、ちょっと自分が求めていた内容と違ったところがあり楽しみながら読み切ることができなかった本です。また体力が回復したら読んでみたいと思います。
小学生でもわかる世界史
YouTubeチャンネル登録者92万人、総再生数1億4千万回突破!
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わかりやすさを求めたあまり、詳しさと丁寧さを犠牲にした暴書、歴史は脳ではなく、骨肉で味わえ
・以下の動画を書籍化のために全ページフルカラーで再編集し、本独自のさらなる解説を加えて本にしました
あのピヨピーヨ速報が本になりました。書店で平積みされている本書を見て「あのピヨピーヨ速報が本に?!」とびっくりして購入しました。正直、本当にこういう本を待っていました。
学生時代の不勉強のせいで世界史や日本史が全くわからず…。キューバ危機ってなんなのかとか、ロシア帝国ってロシアと違うのかとか…..。漫画のようにわかりやすく、どれだけ雑でもいいから、とにかく全体の流れを面白く伝えてほしい…!!そんな要望に真っ向から答えたのがこの本だと思います。
これなら読める!というか、これで読めなかったらもう世界史はまるっきり諦めたほうがいいというくらいの本です。とにかく面白く世界史を駆け足で学ぶことができてよかったです。
東京都同情塔
日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版「バベルの塔」
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ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながらパワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と、実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。
文章の5%が生成AIで書かれたことでXで話題になっていて、結構叩かれていたところを「今生成AIで書かれたことを批判しているあなたにこそ呼んで欲しい本です」というレビューがあって、それに惹かれて購入しました。
芥川賞受賞作品って結構純文学って感じで読みづらいイメージがあったのですが、そんなことはとんでもなくて非常に読みやすかったです。「推し、燃ゆ」みたいに噛み砕かれるより遥かに。
生成AIがテーマの本かと思いきや全くそうではなく、どちらかといえば今の過剰なポリコレだったり、呼び方の配慮だったりといったいわゆる(岡田斗司夫の示唆するような)「漂白される世界」を辿った日本を見事に描いていて、その世界線が面白かったです。
主人公が建築士というのは小説の前提としてちょっと珍しく、面白かったです。
以上、今月読んだ6冊を振り返りました。
ブログなどでわざわざでも振り返る機会を設けるといいですね。何を読んだか思い出せて(笑)
小説も色々読みたいと思っているので、こんな具合で月に1冊くらいは小説を織り交ぜて読書を楽しんでいきたいです。まだまだ寒い季節が続きますが、本を片手に、楽しく過ごしていきましょう!
2023年読んでよかった本についてはこちらをご覧下さい!
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